こしんぽうたちるい
古神宝太刀類(概説)
1100年代から1400年代の太刀
春日大社に伝わる刀剣を時代順に見て行くと、先ず御祭神のお持ち物「本宮御料または若宮御料」と呼ばれる古神宝類の刀剣が挙げられる。近隣の正倉院宝物をはじめ各地の社寺に古くから伝わるものと共通点も見られるが、当社は国譲りの神話でも名高い武神としての信仰と歴代天皇の行幸や、20年に1度の社殿造替に際して献納されることもあり、数多くの伝存品がある。飾剣の刀身は完全な直刀ではなく、柄などに僅かな反りが見られ、切先を両刃とする例が多く残っている。
元から御祭神に献納する為に調えられた黒漆平文飾剣とは異なり、摂関家などの貴族たちが伝来の家宝や皇室の盛儀に用いた宝剣を御神前に捧げることも盛んに行われた。
いずれも国宝の紫檀地螺鈿飾剣、金地螺鈿毛抜形太刀、若宮御料古神宝類の毛抜形太刀などがそれで、非常に貴重な特徴と往時の美しさを現代に伝えている。
鎌倉時代以降、武士が台頭し神仏に崇敬を寄せるようになると実用的な刀剣が奉納されるようになる。鞘を黒漆塗にして蒔絵などの装飾を施さない太刀を黒漆太刀と呼び当社にも数多く伝わる。弘安6年(1283)には六波羅探題の北条時村が黒漆の太刀を夢告により奉納した記録が残っている。古伯耆、古備前など貴重な刀身も当初の状態を良く残している。