【国宝】
けぬきがたたち
若宮御料古神宝類
毛抜形太刀
〜平安時代〜
春日若宮が創建された保延元年(1135)に前関白太政大臣藤原忠実とその子息の頼長によって奉納されたことが資料から明らかとなっている太刀。父子は氏神である春日大社を厚く信仰していた。
本作は平安時代の毛抜形太刀の完存品として極めてまれで、春日大社所蔵の国宝 金地螺鈿毛抜形太刀とならぶ貴重な作例となっている。
刀身が抜けないため詳細は不明だが、鞘に開いた隙間から丸棟であること。またX線調査により魳鋒であることがわかっている。
毛抜形太刀には通常葵鐔を用いるが、本作は分銅型の唐鐔で、鞘の中央に銀板をはめる銀樋を施し上下を紫檀地螺鈿とするなど、飾剣の要素が加わっている。銀樋は切り透かして黒漆を埋めて磯千鳥文を表し、上下に金無垢の角線をはめる。宝相華の螺鈿や銀鍍金の金具の彫金の出来も素晴らしい貴族の太刀の代表作の一つで、同じく国宝 若宮御料古神宝類の平胡籙、蒔絵弓(松喰鶴千鳥文)と意匠が共通している。