春日大社国宝殿

【国宝】
まきえのこと

本宮御料古神宝類
蒔絵箏

〜平安時代〜

本作は、国宝に指定される本宮御料古神宝類のうちのひとつで、春日大社大宮の神殿に納められていたもの。箏は甲面に琴柱ことじを立て絃を張って弾奏する楽器である。本作の甲面には蒔絵によって美しい山水画が描かれており、金、銀に加えて銅紛を蒔くのが珍しい。大部分が剥落してしまっているものの、周囲には沃懸地螺鈿いかけじらでんによって宝相華文ほうそうげもんが施されている。我が国の代表的な漆工品であることは間違いなく、日本工芸史上でも極めて貴重な作例である。